肝臓外科
医師の紹介
- 福島 啓介(総合診療部診療部長兼副診療部長(災害支援担当)兼患者サポートセンター副部長)
診療の概要
当科では,肝臓がん(原発性,転移性)および胆道・膵臓の疾患に対して積極的に外科手術を行っています。
診療の特色
原発性肝がんは,主にウイルス性肝疾患(B型肝炎,C型肝炎)を基盤として発生するため,外科的切除に際しては常に肝機能障害・肝予備力の程度を評価しなければなりません。消化器内科・肝臓内科と連携を取りつつ,患者それぞれの肝臓の状態を見極め,安全な手術を行えるよう常に心がけています。
また,転移性肝がん,その中でも特に大腸がんの肝転移に対しては,外科的切除が生命の予後を改善させることが明らかとなっています。主に抗がん剤治療に携わる腫瘍内科と密に連携を取りながら,手術の可能性・タイミングを追及し,外科手術による根治を目指しています。
一般に肝臓の手術といえば,その位置関係から大きく縦横に腹部を切開する必要性がありますが,近年の腹腔鏡を用いた手術の発展・進歩,安全性の向上により,腹腔鏡下の肝切除が保険適応で行えることとなりました。この手術は複数の小さな傷で行うことができ,手術侵襲(手術による体のダメージ)の小ささや術後回復の早さなどに利点があるとされています。当科でも適応となる症例を選んだ上で,積極的に取り組んでいます。2022年には新型の4K画像腹腔鏡手術システム(ICG蛍光法対応)が導入され活用しております。
そのほか,肝臓のみならず肝胆膵外科領域,例えば胆嚢がんや胆管がん,あるいは膵臓がんなどに対する手術も当科で行っております。胆膵内科との連携体制のもと、高難度手術とされる膵頭十二指腸切除術,血管合併切除を伴う手術などにも取り組んでいます。
代表的な疾患と症状
疾患
原発性肝がん,転移性肝がん,肝内胆管がん,各種肝腫瘍,肝内結石,胆道がん(胆管がん,胆嚢がん,乳頭部がん),胆道拡張症,膵臓がん,膵腫瘍など
症状
- 肝臓は「沈黙の臓器」と言われ,自覚症状が見られないことも多々あります。
- 肝臓や胆嚢・胆管,膵臓に腫瘍が発見された。
- 急激な体重減少や黄疸,糖尿病の発症,食欲不振。
- 右上腹部や心窩部(みぞおち),背中の痛み,重苦感など。
医療設備
手術機器(超音波外科吸引装置,超音波凝固切開装置,ラジオ波手術器具など)
術中超音波装置(造影超音波対応,腹腔鏡用プローブを含む)
ICG蛍光法対応腹腔鏡手術システム(4K画像)
診療実績
R2年 (2020年) |
R3年 (2021年) |
R4年 (2022年) |
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原発性肝がん手術件数 |
8(3)件 |
8(3)件 |
9(4)件 |
転移性肝がん手術件数 | 6件 | 10(5)件 | 10(6)件 |
その他の肝臓手術件数 | 7(5)件 | 0件 | 1(1)件 |
胆道(胆管・胆嚢・乳頭部) がん症例数 |
18(2)件 |
19(1)件 |
20(7)件 |
膵臓がん・膵腫瘍症例数 | 11件 | 11件 | 14件 |
※()は腹腔鏡下手術件数