大崎市民病院Osaki Citizen Hospital

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緩和ケアナースの仕事にやりがい│二瓶 恭子│看護部看護管理室看護師│緩和ケア専従

病気を患った後も豊かな生活を送れるように…

結婚を機に,大崎市民病院で勤務しています。産休後,子どもを院内保育所に預けて働きました。自分の仕事場のすぐそばに預けられ,安心して働くことができました。緩和ケアの仕事に携わることになったのは2009年。当初は,外科病棟に所属しながら緩和ケアチームとの橋渡しをする「緩和ケアリンクナース」を務めました。緩和ケアチームは,がんと診断された時から治療に対する不安や体の痛みなど,心と体のつらさを和らげるお手伝いをしています。緩和ケアの仕事を始めて,患者さんとの接し方にも変化がありました。それまでは「病気を治すためにはこんなふうにしたらいいよ」などと,医療者の視点で生活上の注意点をアドバイスしていましたが,患者さんがこれまでどのような生活を送ってこられたかを伺って,できるだけ豊かな生活を続けていくためにはどうしたらいいかを考えるようになりました。患者さんの生活全体をイメージして接することが大切だということに気が付いたんです。そういう視点で接すると,患者さんの喜ぶ顔を見ることも増え,緩和ケアの仕事にやりがいを感じるようになりました。

病院と家族の後押しで勉強を

2011年には,緩和ケアチームの専従ナースになりました。緩和ケア専従ナースは,より困難なケースにコンサルテーションという型で緩和ケアを提供していく役割があります。どのように応対したらよいかわからず悩み,上司に相談したところ,高度資格取得者育成制度を利用して,緩和ケアの認定看護師教育課程に進む道をすすめてもらいました。緩和ケア認定看護師の資格を取るにはまず,教育機関で8カ月間の研修を受けなければなりません。幸い比較的近い岩手県に教育機関が開講しましたが、それでも毎日の通学は難しかったので,学校の近くに部屋を借りました。そのころ子どもは小学1年。そばにいられない不安もありましたが,家族のサポートのおかげで無事に修了することができました。子供には寂しい思いをさせてしまいましたが、「大きくなったら看護師になる」と言ってくれたこともあり,自分が頑張る姿を見せられたことはよかったのかと思います。病院からの支援もありがたかったですね。給料も補償してくれましたし,研修費用や住居費などほとんどの費用を病院が負担してくれました。

寄り添い,話を聴くことの大切さ

私が今,大切にしていることは「患者さんの話を聞くこと」です。人は誰でも,自分の中で問題を解決する力を持っています。けれども,急に病気になった患者さんは,不安やストレスにさらされることで,対応する力が弱まっています。私たち,看護師にできることは,患者様一人一人の持っている力を引き出していくこと。そのための1つの方法として患者さんの話を関心を寄せて聴くということを大切にしています。患者さんの気持ちの揺らぎに寄り添い,お話を聴くことで患者さんが自分なりのやり方で少しずつ病気と向かい合っていく姿をみせて頂き,私も力をもらっています。これからも勉強してきたことを看護の現場で経験として積み重ね,もっともっと成長しながら緩和ケアの仕事に携わっていきたいと思っています。

ある日の二瓶さん

8:30 出勤 子どもを学校に送り出して,出勤。二瓶さんは外来を拠点に業務を行っています。
8:45 業務開始 午前中は外来や化学療法センターで業務。抗がん治療を受ける患者さんや外来での重要な説明の場に同席したりしています。
13:00 ラウンド 午後は入院中の患者さんのベッドサイドに足を運び,お話をお聞きしながら情報を病棟看護師と共有し,よりよいケアにつなげていきます。
15:00 カンファレンス 緩和ケアチームのメンバーで,週に1回カンファレンスを実施。個々の患者さんについて情報を共有し,ケアの方針を定めていきます。
17:15 退勤 退勤し子供のお迎えに。業務が長引きそうな日は夫に早めに帰宅してもらうなど,家族で協力して子育てしています。